Portrait of a Lady

人生ではじめて、フレデリック・マルの店舗で香りを試させていただいた。

 

憧れのブランドである旨を告げると店員さんは俺の愛を試すような笑みで「最初にどの香りを出しましょう?」と挑戦してきた。

 

答えは決まってる。

 

「Portrait of a Ladyで!」

 

試香紙に吹き掛けていただいたものを嗅いで、すぐに素晴らしいローズの香りだと感じた。

 

でも、その時はそれだけで、他に幾つか試させていただき、結局同行者はビガラード・コンサントレ、僕はムスク・ラヴァジュールを纏わせていただき、試させていただいた全ての香りに試香紙をいただき(ムスク・ラヴァジュールにいたく感動しつつ)帰路につきました。

 

帰宅してしばらくして、ひとりでゆっくり試香紙と向き合って初めてPortrait of a Ladyの真の美しさに心を打たれました。

 

これは“真に美しい女性の人生そのもの”だと感じさせる迫力。

コマーシャルで加工に加工を重ねた皺の一つも、影の一つ何も無いような“カンペキにウツクシイ”虚構ではなく、ひとりの高貴な存在の、陰や苦しみまで含めたすべてが重なり織りなす美しさ。

 

一本の香水を吹きかけた試香紙と向き合うだけで、長編小説を読まされたかのような感覚。

間違いなく最も感動した香水のひとつ。

 

崇め奉るためいつか必ず買わせていただきます。